
【2026年(令和8年)第2回定例会 6月12日 本会議・討論】
通告してある議案について、委員長報告に「反対」の立場で討論しました。
1 録画
① 群馬県議会インターネット中継(7分40秒)
② 酒井ひろあきYouTubeチャンネル(字幕付き・6分50秒)
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2 反対討論(全文)
日本共産党の酒井宏明です。
会派を代表して、議第6号「皇室の伝統に基づく安定的皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書」について、反対の立場から討論します。
意見書案は、「皇位継承の在り方は国家の基本に関わるきわめて重要な問題であり、幅広い観点からの丁寧な議論が求められる」とあります。
これは至極当然のことです。
しかし、今国会等ですすめられている皇族数の確保に関する議論で、日本共産党をはじめ反対や慎重を表明する会派が存在しているにもかかわらず、衆参両院正副議長が「立法府の総意」などとして、2つの案の「とりまとめ」を強行したことは、丁寧な議論とは程遠く、将来に禍根を残すものと言わざるを得ません。
第1案の「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する」ことについては、女性天皇を認めない一方で、女性皇族を婚姻後も本人の意思にかかわらず皇室にとどめるものです。
皇族数の確保のためには、女性皇族の自己決定権や幸福追求権の制約も許されるというのは、議論がまったく逆立ちしています。
第2案の「皇族には認められていない養子縁組を可能にし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」ことには重大な問題があります。
これは、2005年の有識者会議の報告書で、戦後に皇族から切り離された旧宮家について、「今の天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の方々である」ことを指摘したうえで、「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である」として否定されたものです。
そもそも一般国民として生まれ育った人を特別な身分である皇族にすることは、憲法14条1項が否定した「門地による差別」に抵触することは明らかではないでしょうか。
さらに、今回の養子縁組制度が、男系男子による継承に固執する考えから生まれたものであり、養子として皇族となった方の子孫に皇位継承資格を持たせようとする議論と一体のものであることは看過できません。
そもそも、皇族数の確保については、皇位継承の問題とは切り離して議論することが前提のはずでした。
今回の森衆院議長の発言は、皇族数の確保策と言いながら実際は、養子の子に皇位継承資格を与えて男系男子による永続的な継承に道筋をつけ、女性・女系天皇の道を閉ざそうという本音を露呈したものにほかなりません。
男系男子への継承は、明治時代に皇室典範で制度化されただけで、過去に女性天皇は多く存在していました。
日本国憲法は第1条で「天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する日本国民の総意に基づく」と明記しています。
戦前の「万世一系の天皇が統治する」というものとは根本的に異なります。
この憲法の規定に照らせば、多様な性を持つ国民の統合の象徴を男性に限定する合理的理由はありません。
また、憲法第2条は、皇位を世襲のものとしていますが、この「世襲」は女性を排除するものではないというのが憲法制定時の政府見解です。
こうした憲法の成り立ちを無視して、「男系男子」継承を不動の原則とした議論は、憲法の精神に反するものだと言わざるを得ません。
天皇を男性に限定している現状をただすことは、国民の中でのジェンダー平等を発展させるうえでも意義ある改革になると考えます。
さらに、とりまとめでは「立法府の総意」といいますが、どの世論調査でも国民の大多数が女性天皇に賛成しています。
ならば、国民のこの総意に応える議論を進めるのが立法府の責務ではないでしょうか。
有識者や憲法学者らからの意見聴取や国民の声を聞くパブリックコメントを実施し、広く国民的な議論を行い、国民の総意を形成する努力こそ求められています。
国民世論を無視する形で議論を進めること自体が、憲法の条項と精神に反するものといわなければなりません。
立法府の総意でなく、ましてや国民の総意でもない「とりまとめ」は白紙に戻し、女性天皇について正面から議論すべきであることを重ねて申し上げて、本意見書への反対討論とします。
【参考資料】 議第6号議案 皇室の伝統に基づく安定的皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書

議第6号議案
皇室の伝統に基づく安定的皇位継承を確保するための法整備の早期実現
を求める意見書
皇室は、わが国固有の歴史と伝統の象徴であり、国民統合の象徴として、国民の間に深く根差している。皇位が連綿として継承されてきたことは、わが国の歴史的連続性の根幹であり、その安定的な継承を確保することは、国家の安寧と将来にとって極めて重要な課題である。
現在、皇位継承資格を有する皇族方は少数であり、次世代の皇位継承者は秋篠宮悠仁親王殿下のみとされる現状に鑑みれば、安定的皇位継承の確保は重要かつ継続的な国家的課題である。
政府においては、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に基づき、有識者会議による報告書が取りまとめられ、現在、国会においても各会派間での協議が進められている。皇位継承の在り方は国家の基本に関わる極めて重要な問題であり、わが国が古来より守り伝えてきた皇位継承の在り方を踏まえつつ、幅広い観点からの丁寧な議論が求められる。
皇族数の確保のための具体的方策として、「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること。ただし、その配偶者と子は皇族としない」こと、および「皇族には認められていない養子縁組について、その取扱いを含めた制度的方策を検討し、皇統に連なる男系の男子を皇族とする考え方」などが検討されており、これらはすでに多くの党・会派において重要な論点として共有されている。
よって、当議会は、国会および政府に対し、皇族数の減少という現実に真摯に向き合い、これらの方策を政争の具とすることなく、超党派による真摯かつ丁寧な論議を促進し、今特別国会において皇室典範改正を実現することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
3 採決の結果
「皇室の伝統に基づく安定的皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書」は、日本共産党(酒井宏明・大沢綾子)以外の賛成多数で可決しました。

4 第2回定例会について
5 討論を終えて
「皇室の伝統に基づく安定的皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書」に反対討論
第2回定例県議会は本日、すべての日程を終え閉会しました。
私は「皇室の伝統に基づく安定的皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書」に反対する討論を行いました。
衆参両院正副議長が「立法府の総意」などとして、「とりまとめ」を強行したことは、本意見書のいう「丁寧な議論」とは程遠く、将来に禍根を残すものです。
女性皇族を婚姻後も本人の意思にかかわらず皇室にとどめることは、皇族数確保のためには女性皇族の自己決定権や幸福追求権の制約も許されるとするもので、議論が逆立ちしています。
森衆院議長の発言にみられるように、今回の養子縁組制度は、養子として皇族となった方の子孫に皇位継承資格を持たせようとする議論と一体であり、看過できません。
日本国憲法第1条の規定に照らせば、多様な性を持つ国民の統合の象徴を男性に限定する合理的理由はなく、男系男子継承を不動の原則とした議論こそ、憲法の精神に反します。
どの世論調査でも国民の大多数が女性天皇に賛成しています。
有識者からの意見聴取や国民の声を聞くパブリックコメントを実施し、国民の総意を形成する努力こそ求められています。
意見書は、日本共産党以外の賛成多数で可決されました。

憲法の精神に反する 皇位継承巡る意見書 酒井氏が反対/群馬(しんぶん赤旗 2026.06.20)