2月定例県議会が19日、来年度一般会計補正予算などを可決し、閉会しました。
私は通告してある各議案と請願に反対の討論を行いました。
日本共産党の酒井宏明です。党県議団を代表して、通告してあります議案および請願に対し、委員長報告に反対の立場から討論を行います。
東日本大震災・福島第一原発事故から2年が経過しました。被災地復興や被災者支援、放射能汚染対策は、群馬県政にとっても引き続き重要な課題です。こうした中で、県民のいのちと暮らしを守る県政のあり方、真価が厳しく問われています。
このような観点から、来年度予算案を慎重に検討した結果、障害者リハビリテーションセンターの改築、障害者就労サポートセンターの設置、子ども医療費無料化の継続など評価できる点もありますが、全体として、県民のくらし・福祉を守る姿勢に弱く、同意できません。
その理由の第1は、大型開発偏重で、借金依存を加速させる予算だということです。
「7つの交通軸」に前年比12%増の263億円、八ツ場ダム関連事業に97億円。高崎競馬場跡地におけるコンベンション施設の整備に1億6千万円、そのための用地先行取得に17億円を計上しています。こうした大型開発の原資はほとんど借金です。県債発行額は3年ぶりに1000億円を超え、県債残高は1兆1848億円となる見通しです。
コンベンション計画は、設計から建設、管理・運営までを民間事業者が一括して行うPFI事業方式を採用するとしています。年間利用者を107万人、650億円の経済効果を見込んでいます。ところが、全国アンケート調査では展示会の開催場所として「魅力的で利用を考えてみたい」と答えたのは19%、会議開催に関しても同じく35%にすぎません。十分な県民合意もえないまま、現実離れした計画に莫大な血税をつぎ込むことには反対です。
自然史博物館へのESCO事業導入は、昨年度の厚生文化常任委員会で全会一致否決されたものに薄化粧をして再提出したものですが、省エネ技術のノウハウが県に蓄積されないなどの本質的な問題点はそのままです。民間企業へのアウトソーシングでなく、県直営で行うべきであります。
八ツ場ダムについてです。利根川水系河川整備計画策定のための有識者会議では、ダム建設の根拠そのものに異論が相次ぎました。しかし、国交省は議論を打ち切る構えです。
また、予定地周辺では、「日本のポンペイ」と評される、天明三年の浅間山噴火による災害遺跡が注目されています。渋川市で古墳時代のよろいを着た人骨が出土し公開され、大勢の見学者が訪れました。八ツ場の貴重な遺跡の保存と公開こそ、知事がすすめる東国文化の発信、群馬のイメージアップ戦略の中心にすえるべきではないでしょうか。今こそ、八ツ場ダムの本体工事を中止し、歴史と文化と自然による真の地域振興へ足を踏み出す時です。
第2に、県民のいのちと安全を守る取り組みはどうかという点です。
福島第一原発事故は収束とは程遠く、昨日も重要免震棟が一時的に停電し、冷却システムが停止しました。放射能汚染による県内の農畜産物や観光業などへの風評被害を含めた損害賠償の支払いも道半ばです。こうした中で、原発の再稼働の動きがあることは容認できません。県として、国と東電に対し原発からの即時撤退を強く求めるべきです。
放射線の健康への影響に関する有識者会議による2回にわたる「安全宣言」をうけて県は、子どもの甲状腺がん検査を含め県民の健康調査に後ろ向きです。低線量・内部被ばくに関する最新の知見を踏まえ、最も安全性に重きを置いた対策が求められています。以上の理由により、第1号議案、来年度一般会計予算に反対です。
次に、その他の議案についてのべます。
13号および15号、森林環境の保全に関する新税についてです。平成26年度から復興税として県民一人500円が課税されます。新税の個人負担700円が加われば県民税の個人割は1000円から2200円と一気に倍以上になります。森林面積からみて5年では対応できず、半ば恒久的な増税となる可能性もあります。本来予算の組み替えで行うべきで、新たな庶民増税によって対応するのは筋違いです。同じ時期に消費税の8%増税も予定されている中で、県民の生活実態を顧みない新税導入に反対です。
19号および22号は、55歳以上の県職員の昇給幅の縮減、部長級の給与減額にかかわる条例改正です。県民福祉向上のため奮闘している県職員の士気を低下させるだけでなく、民間賃金引き下げに連動し、デフレスパイラルを加速させるものであり、認められません。
第39号「医療費適正化計画」は、国からの押し付けで医療費抑制を目的としたものです。県民の医療を受ける権利を制限するおそれがあり、反対です。第41号「健康増進計画」は、介護保険サービス利用者を抑制するために数値目標までかかげ、放射能汚染から県民のいのちと健康を守る観点がなく、自殺者対策も禁煙対策も不十分です。歯科口腔に関し、フッ化物の塗布を無批判に推奨していることは問題です。よって本計画を認めるわけにはいきません。
42号「県土整備プラン」は「7つの交通軸」など大型道路建設や企業誘致を促進するものですが、プランの中で「遅れている分野」と指摘しているように、公共交通網の整備や住宅の耐震化、バリアフリー化、省エネルギー対策こそ優先すべきであり、道路先にありきの計画には反対です。
残余の議案については、かねてからの理由により反対です。
次に請願についてです。
TPP参加に反対する請願が7本も提出されました。これは県民の切実な願い、そして怒りの反映にほかなりません。安倍首相は15日、TPP交渉参加を正式に表明しました。「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」といいますが、まさに国民を欺く偽りです。日米首脳会談で発表された共同声明では関税と非関税障壁の撤廃を原則としています。国民皆保険制度、食の安全、ISD条項など、自民党が総選挙で掲げた「関税」以外の5項目についても、アメリカ側から何の保証もありません。さらに新規参入国には対等な交渉権が保障されず、9か国で合意したことの丸のみを迫られ、交渉の余地すらありません。
これまでTPP反対の意見書が44道府県議会、市町村議会では2144件にのぼり、最近も相次いでいます。しかも、先の総選挙で当選した群馬県選出の衆議院議員全員がTPP参加反対を条件として全国農政連の推薦を受け、TPP断固反対を主張していました。自らの政権公約をことごとく踏みにじり、農林水産業、医療、雇用など日本経済を土台から壊し、経済主権をアメリカに売り渡すTPP交渉参加は到底認められません。継続でなく、採択を主張します。
総務企画18号・19号は米海兵隊オスプレイの配備・飛行訓練の中止を求める請願です。今月に入り、四国地方から紀伊半島にかかる、いわゆるオレンジルートでオスプレイの飛行訓練が強行されました。群馬県上空もルートの一つに設定されており、爆音と墜落の危険から県民のいのちと安全を守るためにも本請願の採択を求めます。
その他通告してあります請願についてはかねてからの理由により委員長報告に反対いたします。以上で私の討論といたします。
